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2007年07月24日

「お母さん、赤ちゃんはどこから来るの?」

「お母さん、赤ちゃんはどこから来るの?」
質問をしようとした時、裕太にはハッと思い至る事があった。

―自分には赤ちゃんだった頃がある。確かにその記憶がある。つい先日まで自分はオムツを履き、ほ乳瓶を愛用していた。しかし、それに対して、自分の母親が赤ちゃんだったかどうかは自分には解らない。例え写真や昔話で当時をうかがい知る事は出来ても、確かな実感として、自分の母親が赤ちゃんだった事は知りようがないのだ。この質問は自分で考えるべき質問なのではなかったか。

 それに、自分に経験がある事を、あえて人に尋ねるのはお門違いだ。経験があるどうかも解らない人に、その経験の根本を問うたところで成果が得られるとは限らない。裕太は自分が非合理的な質問をしようとした事を素直に恥じた。

 裕太はさらに己を顧みた。愛すべき母に自分はとても失礼な質問を投げかけようとしたのではないか。考えれば解ることを安易に訪ねられたら、誰だって腹が立つはずだ。それが自分には解らない質問ならなおさらだ。申し訳ないことをした。

 だから裕太は質問する変わりに「ごめんなさい」と一言、母に謝った。

 当然、母には裕太による突然の謝罪の意味が解らなかった。母はただ曖昧に「ん?」と呟き微笑んだ。しかしこの時、母の胸中には女親に特有の「勘」に基づく、ある一つの考えが去来していたのだった。

「この子は何か深い考えを持っている。その考えが何かは解らない。それがこの子を良い方向に導いてくれるのか、それとも災いをもたらすのか。とにかく、この子は他の子とは違う、特別な子供なのだ」


―つづく(のか?)―

投稿者 mozi : 2007年07月24日 23:38