« 【小説】腐っても女子 | メイン | 【ラジオ】今月発売のコミック200802 »

2008年02月06日

解体屋外伝

解体屋外伝 (講談社文庫)
いとう せいこう
講談社 (1996/07)
売り上げランキング: 265826

ヤングガンガンで連載中のコミック、「ウルトラバロック・デプログラマー 」の原作小説。

コミックの方は浅田寅ヲが作画を担当していて、線が細くてスタイリッシュな今風のマンガになっているので「多重人格探偵サイコ」とか好きな人にはお勧めしやすいなぁという感じなんだが、じゃあ小説は?」という事で読んでみた。

お話としては小説・マンガ共に裏のサイコカウンセラー達が文字通りの心理戦を繰り広げていく…といったものなのだが、その詳細はかなりイカしている。宗教団体や大企業の企業戦士育成での洗脳を専門に受け持つ「洗濯屋(ウォッシャー)」、洗脳の解除を行う「解体屋(デプログラマー)」等の裏のサイコカウンセラー達が文字通りの心理戦を繰り広げていく…といったもの。
「人々の信仰心が次々にデプログラミングされた結果、彼の国では神が死んだ」みたいなセリフなどはかなりかっこいい。

作中で用いられる洗脳の手法も「自分の中に相手の精神のイメージを作り出してそれを操作する事による心象書き換え」等の手段が使われていて、本当にそんな事が可能かどうかは別にして洗脳のテクとしてある種の専門書で語られている内容だったりと、なかなかの好印象。

もうある意味で、これらの設定を思いついた時点でいくらでも話を面白く出来そうであり、設定を見る為だけに読んでも良いと思わせられてしまう。設定勝ちというやつだろう。
で、小説版。
コミック版を先に読んでイメージが出来上がってしまっていたからかも知れないが、想像していたイメージとは違った。もっと硬質なものをイメージしていたのだが、実際にはギャグが連発されるなどかなりチープな印象。後出しジャンケンではあるが、コミック版の方がカッチョイイと個人的には思ってしまったんだ、ごめん、せいこう…。

しかし、いとうせいこうの凄いところは小説文庫版のあとがきで香山リカも言っているけど、この設定を10年も前に小説化していたところだろう。この設定はやっぱり斬新だし、過激だ。
情報化、価値観の多様化が進むといかに自分の価値観への賛同者を増やすか、というのが社会生活の中で大きなウエイトを占め始める。その時、洗脳という手法が巨大資本の中で必要不可欠なツールとして消費されていく…みたいな。
こんな話を96年に思いついていたのはやっぱり凄い。

投稿者 mozi : 2008年02月06日 22:09

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.mozikeru.COM/cgi/mt/mt-tb.cgi/56

コメント

コメントしてください




保存しますか?