2008年04月17日
ナポレオン・ヒルの伝記マンガ
きこ書房
売り上げランキング: 13958
「成功哲学」の元祖みたいな人、ナポレオン・ヒルの伝記がまんが形式で読みやすく。
大富豪カーネギーに20年無給で師事し、成功者に共通する事象を洗い出して成功するための法則を体系化したのだが、いわく「成功者は積極的」「成功者は逆境にめげない」「成功者は目標を持っている」とか。
で、そうなるためにはどうしたら良いのかという心構えを「成功の法則」という本で説き、ベストセラーになったわけですわ。
共感できるし、そうやれば成功するだろうなぁと思わせる説得力があって心強い。
それになにより、お金だけを人生の成功としていないのが良い。人間的な成長を目指してこそ初めて幸せになれるというか。
…ただ、世界中のみんながこんな前向きな人間ばかりだと面白くないよなぁ。
この人の開発した成功の法則は自己啓発セミナー的だということで一部で問題視されていたりするらしいが、つまるところ、自己啓発セミナーに一般の人が抱く忌避感というのは僕が思ったのと同じく、みんなが同じ性格の前向き人間ばかりになってしまって気持ち悪い、というところなんじゃないだろか。
でも、後ろ向きな人よりは前向きな人ほど生きていきやすいし、周りからも好かれやすいだろう。よほどのひねくれもので無い限りみんなから好かれたいと願うのは当たり前の事なんじゃないのか。とか考えると社会全体が自己啓発セミナーみたいなもんだよな、と思ったり。
それはともかく、風邪をひいてる状態で昔に振られた女のミクシ日記を全部読んでからこれを読んだら凄い勢いで自己啓発セミナーに通いたくなった。ファッキン。
投稿者 mozi : 00:31 | コメント (0) | トラックバック
2008年03月16日
ぐろぐろ(松沢呉一)
ぐろぐろ
ロック音楽雑誌「BURRN!」にて連載されていた「アナルは負けず嫌い」の単行本。
連載当時、中学~高校生でまだ多少はウブだった僕もドキドキしながらこの連載を読んでいた。
ケツの穴に色々突っ込む話とか、SM、スカトロ、性に関するありとあらゆるアナーキーでアングラな
話がてんこ盛りだった気がしていたが、大人になった今改めて単行本で読んでみるとそれほどエロエロな内容でもなく、どちらかと言えば性だけではない、世間から目を背けられているもの全般に対して目を向けた社会批評性の強いものという印象を持った。
今回、単行本でうんことかゲロとかの話を読んでいると、そっか、こういうものにもエロスを感じていたのか、なんだかんだで中学・高校時代というのは思春期だったんだな、という甘酸っぱいものがこみ上げて来たような。
雑誌記事のうんことゲロにエロスを感じる中高生というのは、歪んでる感じだけど。
投稿者 mozi : 20:48 | コメント (0) | トラックバック
2008年03月02日
スクールアタック・シンドローム(舞城王太郎)
新潮社 (2007/06)
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舞城王太郎著。単行本に収録されていた表題作「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を収めた文庫本。
スクールアタックシンドローム、我が家のトトロも面白いが、単行本でも読んでいたので割愛。問題は書き下ろしの完全新作、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」だ。
非現実的な設定の中でリアルな思考・問題をスピードのある文体で突き詰めていく、
というスタイルが王太郎さんの真骨頂だと思うのだが、本作もぶっ飛んだ設定が猛威を振るう中で、重くて苦しい問題が超スピードで、しかし丁寧に彩られていく。暴力、虐待、セックスの嵐。
親の情念からコソボのソマリアの名前を付けられた女の子「杣里亜」。
彼女は名前のせいか、どこでも、誰からも疎まれ虐げられる。しかし度重なる虐待の頂上でとある能力を発現し、その能力のせいで更に過酷な虐待をエンドレスに受けることになるのだった…。
暴力と、悲惨と、目が回るようなむちゃくちゃな設定の中で関係者(含む読者)の無力感が凄い勢いで露にされ、やるせない気持ちがどうしようもなく立ち込めてくるが、どうやっても目が離せない。
コミット出来ない問題にはコミットしようが無い、でも本当にそれでいいのか。しかし、人は出来る事をやるしかない。出来ない事を悔やんでも、それは明日にはつながっていかない。…だがそれは実はただの諦めなのでは。
そんな事をぐるぐると考えてしまった。
投稿者 mozi : 20:29 | コメント (1) | トラックバック
2008年02月06日
解体屋外伝
講談社 (1996/07)
売り上げランキング: 265826
ヤングガンガンで連載中のコミック、「ウルトラバロック・デプログラマー 」の原作小説。
コミックの方は浅田寅ヲが作画を担当していて、線が細くてスタイリッシュな今風のマンガになっているので「多重人格探偵サイコ」とか好きな人にはお勧めしやすいなぁという感じなんだが、じゃあ小説は?」という事で読んでみた。
お話としては小説・マンガ共に裏のサイコカウンセラー達が文字通りの心理戦を繰り広げていく…といったものなのだが、その詳細はかなりイカしている。宗教団体や大企業の企業戦士育成での洗脳を専門に受け持つ「洗濯屋(ウォッシャー)」、洗脳の解除を行う「解体屋(デプログラマー)」等の裏のサイコカウンセラー達が文字通りの心理戦を繰り広げていく…といったもの。
「人々の信仰心が次々にデプログラミングされた結果、彼の国では神が死んだ」みたいなセリフなどはかなりかっこいい。
作中で用いられる洗脳の手法も「自分の中に相手の精神のイメージを作り出してそれを操作する事による心象書き換え」等の手段が使われていて、本当にそんな事が可能かどうかは別にして洗脳のテクとしてある種の専門書で語られている内容だったりと、なかなかの好印象。
もうある意味で、これらの設定を思いついた時点でいくらでも話を面白く出来そうであり、設定を見る為だけに読んでも良いと思わせられてしまう。設定勝ちというやつだろう。
で、小説版。
コミック版を先に読んでイメージが出来上がってしまっていたからかも知れないが、想像していたイメージとは違った。もっと硬質なものをイメージしていたのだが、実際にはギャグが連発されるなどかなりチープな印象。後出しジャンケンではあるが、コミック版の方がカッチョイイと個人的には思ってしまったんだ、ごめん、せいこう…。
しかし、いとうせいこうの凄いところは小説文庫版のあとがきで香山リカも言っているけど、この設定を10年も前に小説化していたところだろう。この設定はやっぱり斬新だし、過激だ。
情報化、価値観の多様化が進むといかに自分の価値観への賛同者を増やすか、というのが社会生活の中で大きなウエイトを占め始める。その時、洗脳という手法が巨大資本の中で必要不可欠なツールとして消費されていく…みたいな。
こんな話を96年に思いついていたのはやっぱり凄い。
投稿者 mozi : 22:09 | コメント (0) | トラックバック
2008年01月11日
適切な愛 -しあわせの理由収録-
早川書房 (2003/07)
売り上げランキング: 17443
適切な愛 -しあわせの理由収録-
SFをたくさん読もうキャンペーンが僕の中で始まってかなりの期間が経つわけですが、
やっと来ました、大御所グレッグイーガン。いきなり長編で挫折というのもなんなので短編集をチョイス。
本日はこの巻頭に収録の「適切な愛」を。
-近未来。愛する夫を大きな事故で半死半生の状態とされてしまった主人公の女性。
脳以外の部分を全てクローン部品と入れ替えることでしか夫を生きながらえさせる術はない。
幸い、医療費は保険で支払われる。
だが、約款によりクローン部品の培養が完了するまでの期間、彼女自身が代理母として、
子宮に夫の脳を宿すことを余儀なくされる…。
…医療行為の一環として夫の脳を体内で保管する。
この古典的とも言えるSFガジェットが、物語がクライマックスに向かうにつれて残酷な真実を突きつけてくる。
この体内保管によって彼女の体は否応なしにホルモン分泌が妊娠時のそれへと変わってしまう。
当然、つわりなども発生する。妊娠時の倦怠感やもう一つの生命を維持するために食事量なども増え、彼女は名実共に「お腹を痛める」状態となり、ついには夫の脳に母性を感じてしまうに至るのだ。
…その時、逆説的に感情というものが信じられなくなってしまう彼女。
単なる医療技術に過ぎない行為によって、本能的な慈しみの感情が芽生えてしまうという事実。これは決して障害を乗り越えたことで深まった男女間の愛とは違う。その事を痛感し、彼女は人間らしい感情というモノに不信感を覚えてしまったのだ…。
恋愛、母性本能、慈しみ。これらは尊い感情である事は確かだが、一方で他の感情と同様に
脳内で起こる生理現象の一つでしかないという真実の一局面が、わずか30ページほどで露わにされてしまう。
僕は男性なので子を宿すことは出来ないから、ここに書かれている事が真実かどうかを
身を持って知ることは出来ない。しかし、少なくとも説得力は感じさせられた。
グレッグイーガン、恐るべし。
投稿者 mozi : 02:26 | コメント (0) | トラックバック
2008年01月08日
マイコン少年さわやか漂流記(クーロン黒沢)
マイコン少年 さわやか漂流記クーロン黒沢
パソコン発展史の暗黒面を読み物として描いている本である。
今のニコニコ動画だのWinnyだのように、オンナコドモも「あ、知ってる知ってる!」というようないわゆる「カジュアルコピー文化」が全く存在しないような化石の時代。そんな、「パソコンが趣味」と言っただけでクラスの誰もが口を聞いてくれなくなるような時代に「ゲームのコピー」という、頑張っても誰も喜ばない事に青春の全てをかけた男のストーリー…。
レンタルゲーム屋(そういう店が昔はあったらしい。そういえばツタヤが何年か前にビジネス展開したと思うけどどうなったんだっけ)に足しげく通ってコピーしまくる。オフ会と称してオタク同士集まり、夜中までゲームをコピーし合う・・・。
当時同じような事に血道を上げていた方々なら間違いなく「あ~懐かしいなぁ」と感慨深いものがこみ上げてくるのではないだろうか。
あ~!そうそうこのゲーム、コピー出来なくて悩んだんだよ!とか、最終的にコピーするのが目的になってゲームはしなくなるんだよな!とか。そういうコピーに関する「役に立たない」ウンチクが山盛りのてんこ盛りなので、当時を知っている人間なら共感したり、ここはそうじゃないよな、とか言って無駄にアツくなれると思う。
こういう、頑張ってもゼッタイにモテそうにない事に必死になる男たち。確実に勝ち組という言葉とは隔絶した青春。…でも、楽しそうだ。
当時を知らない人でも、こんな本を読んでみようと思う人間は結構なオタク様であり、多かれ少なかれ自分の趣味に対して「人さまに堂々と自慢できるものではない」と思った事の一度や二度あるんじゃないだろうか。そういうマイノリティーな人々なら間違いなく楽しめる一品だ。
「趣味とは人に認められるためのものではない、自分が好きなものをやりこんでこその趣味である」という事をもう一度再認識させてくれる一冊。「コスプレ撮影会でコスプレ女とお知り合いになりたいがためにコスプレを覚えるってのは、コスプレ好きじゃなくて女好きって言うんだよ!」ってノリの非モテなアナタには是非読んでいただきたい。決意を新たに出来ると共に、暗い青春に乾杯できるハズ…。
投稿者 mozi : 22:23 | コメント (0) | トラックバック
2007年08月22日
「世界征服」は可能か?
世界征服のやりかた、つまりHow toを述べたタイプの本を想像して購入したが、ちょっと違った。やはり世界征服の具体的方法を詳細に述べた、いわゆる「世界征服マニュアル」は存在しないのか。ああ、私の世界征服への道のりはまだまだ困難に満ちている。
本書はどちらかというと、「僕たちの洗脳社会」とかに近いテイスト。世界征服というモチーフを軸に現在社会の成り立ちや文化、文明の意義やあり方について述いる。
例えば、世界征服を成し遂げる事のメリットについての下り。自分たちの主張を通すだけならアメリカ型(というかローマ帝国型)みたいな文化侵略で充分じゃないか、といった考察は読んでいてちょこっと世界の秘密に触れたような気がして面白かった。
でも、そういう「マクロな視点での文化や世界の流れについて」の話が欲しいなら、前述の「僕たちの洗脳社会」の方が濃度が高くてお勧めだ。個人的には本書はちょっと薄口と感じた。今度、岡田さん自身が本書の姉貴分と述べている「フロン」を未読なので読んでみようかしら。
とは言っても本書。オタキングが世界征服を語るわけだから、古今東西のアニメ、映画に登場する悪役がいかなる方法で世界征服を目指したのか、といったオタク知識が豊富に、詳細に紹介されており、オタクなら読んでうなずける、笑える部分が多いはず。ヨミさま人生すごろくとか腹を抱えて笑った。
悪役好きのオタクと、「世界征服という思想」を知りたい人に推薦したい。
投稿者 mozi : 23:53
2007年08月06日
風の谷のナウシカ(原作マンガ)
風の谷のナウシカの原作、小学校の学級文庫になぜか4巻と6巻だけあったり、実家に1巻と2巻だけあったりしたので、断片的な内容把握はしていたのだが、通しで読む必要を何故か今強く感じたので1~7巻をイッキ読みした。
キャラ、立ってるわ。善悪だけじゃ計れねえ凄みがそれぞれにある。是非で言ったら他国へのトルメキア王の侵略行為なんか明らかに非のハズなのに、立身出世ストーリーがそこに絡むと「男ならやっぱり」みたいに、是を感じたりするんだもん。キャラ一人一人のバックグラウンドがちゃんとある。なんだかんだ言っても宮崎駿は一級のストーリーテラーだったのだな、と思った。
まぁ、そんな作品世界だと、単純に良い人、勝った人、もしくは人からの共感を得た人が正義の味方になるわけじゃなく、「より全体と世界の行く末を見定めて行動できた人」が立派な人になっていく。みんなそれぞれ良く考えて、自分が考えたことをきっちりこなしているのはこなしているけど、ナウシカはやっぱり更に先を見据えて行動してた。あの娘は頭が良い。良い娘。
おもしろかった。良い時間を過ごしましたわ。でもね、当時映画版しか観たこと無いのに、トルメキア・土鬼・小部族国のそれぞれの思惑とか、腐海の秘密とかそんなん4巻と6巻だけ読んで解るわけないやん。中途半端に置くなよ、オレの母校…。
投稿者 mozi : 02:31
2007年01月30日
独白するユニバーサル横メルカトル(平山夢明)
独白するユニバーサル横メルカトル
2006年度「このミステリーがすごい大賞」受賞作品。
この本自体は短編集で、8つの話が収録されている。
まず、このタイトルが異常に目をひく。しかし、意味がさっぱり分からない。
「ユニバーサル」と「横メルカトル」という二人組みの話だろか。ぐりとぐらみたいな。
それとも「なんだか分からない名前」を敢えて付ける事でウケを狙ってるだけなんだろうか。語呂いいし。
ユニバーサルスタジオジャパン?メルカトル図法なら聞いた事ある・・・けど、関係ないと思う。
と思いながら読んでみたら、「ユニバーサル横メルカトル図法」で書かれた地図の話だった(あちゃぁ)。
件のユニバーサル横メルカトル図法の道路地図帳を愛用するタクシー運転手。
彼は仕事の傍らむかつく乗客をぶっ殺しては死体を埋め、その埋めた場所を丹念に
血糊で地図帳へと記入する、という事を繰り返していた。
だがある日、うっかり交通事故で死んでしまう。
地図帳は息子に遺品として引き取られるが、その息子は親父以上に筋金入りの
猟奇連続殺人者だった・・。どうする地図帳!というのがあらまし。
・・って、地図帳にどうするもこうするも無いだろう。とは思うのだが、そこはそれ。
というのも、この話の一人称がなんと「地図帳のもの」なのだ(ババーン)。
「ああ、そりゃあ独白するユニバーサル横メルカトルだわ」と夜中に一人で痛く納得。
なんでもこの地図帳が言う事には、地図というのは代々意志を持っていて、主人が地図を見る時には意図的に
より良い道を見やすくしたり、悪い道を隠したりしてるらしい。その上、同じ地域の地図は互いに継続した知識を
持つ事が出来、脈々と情報を受け継いでいたり、地図どうし会話が出来たりするのだそうだ。
可愛がってくれた主人を手助けしたり、一生懸命に諭そうとしたり。
カーナビを「ただ情報を垂れ流すだけの木偶」みたいに言ったりもする。
地図は自分の仕事に誇りを持っている。人類は誰も知らないけれど、
地図は意識的に人々をよりよい方向へと導いているのだ。
・・お、SF。
いいですねぇ、こういう大風呂敷。僕大好きですよ。
というのはさておき、正直、この本に掲載されている話は一様に皆グロい。
この話の中でも、人の皮を剥いだりとか普通にする。
暴力描写が凄惨極まりなく(これまで読んだどの小説よりも凄まじかった)、各話のコアを成す部分というのも
人間の醜さ、黒さが臆面無く押し出されていて、決して万人に薦められるものではない。
むしろ、小学生が読んでたら「ちょっとこっち来い」と保健室に連れて行ってカウンセリングを受けさせなければ、
と思ったほどだ。
だが、先に挙げたような地図の設定や、「死体を食って処分する始末屋稼業を営む、元サーカスの大食い男」
「元自衛官のシャブ屋が、ジャングルの奥地に金にものを言わせて作った王国」といったむやみに食指をそそるダークファンタジー、
「虐待を受けて人生に絶望した女の子が殺し屋に望みを託す話」、「拷問のプロの懺悔」といった、
悲哀がテーマの話もあり、その上、毎話毎話で読者を良い意味で裏切るのだ。
そのバラエティーの富み方、ストーリーテイリングの巧みさはさながら
「鉄道屋(ぽっぽや)・悪魔超人編」の様相を呈している。
そこに「オペラント条件付け」「フェルマーの最終定理」「ファキール・ムサファーの人体改造」などの
各種サブカル的ガジェットも彩りを添えていて、まるで悪い夢でも見るかのような極彩色のサバト状態を
楽しめる仕上がりの一冊だ。
本気のサディストの方は是非、ご一読を。
投稿者 mozi : 23:41 | コメント (0) | トラックバック
2007年01月11日
夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)

夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦の真骨頂、「モテたことなんか一回もないのオタク男子が天然ボケの女の子に悪意無く振り回されて勝手に七転八倒」
の構図の現時点でのハイエンド(言い切り)。
これまでの作品、「太陽の塔」、「四畳半神話体系」は男子がのたうち回る様が非モテ的に「くぅ、解る解る!」という感じで、 そこがメインの楽しみだった。
しかし、今回はそれだけではない。
この、何というかヒロインの可愛さよ!
健気で天然ボケでオタク気質で元気で、黒髪で。
もうたまらんね。天然ボケ&黒髪&オタクというのはある種、最強かもしらん。
・天然ボケ=可愛らしさ
・オタク気質=物事を自分の目で見れる
・黒髪=時流に流されない芯の強さ
うーん。ナイス(上記、独断です)。
本作品は彼女の魅力を遺憾なく、またもっとも上手く読者に訴求できていた、と思う。
そしてその恋を彩る様々なガジェットの濃さがまたいい。
「偽電気ブラン(秘密の模造酒)」
「京福電車研究会(京都と福井を結んでいた架空の電鉄を研究するマニア集団)」
「詭弁論部(詭弁を弄する事に賭ける若者集団)」
確実にオタク心、SFマインドを異常に刺激してくるラインナップ。
きっと、絢爛豪華の言葉はこういう時に使うのだ。うん。
これだけの熱くなる要素を全てきっちり絡ませながらもキチンと「泣けるいい話」に仕立て上がっているのは森見氏の文体、 「純文学風にくだらない事をキチンと書く」が威力を発揮しているからだ。 森見さんお得意の 「天然黒髪少女に翻弄されるヘタレ男子の恋愛模様を情緒豊かに見せる」の図式がここに来て益々冴え渡って来た来た来た。
純文学好き、SF好き、オタク少女好きは是非読まれたし。
投稿者 mozi : 23:17
2006年11月24日
邪魅の雫(京極夏彦)
京極夏彦の妖怪シリーズ、邪魅の雫を読了。
やたらとヤヤコシイ話だった。
でもそれは多分、推理小説読むのがが元々苦手だからだろう。
概ね面白いにゃ~と思いながら読み通すことが出来ました。
ありがたや、ありがたや。
妖怪シリーズは高校、大学時代に塗り仏の宴まで読んで
なんか疲れてしまい、「もういいや」と思って百鬼シリーズも
全然読んでなく、「京極ファンは卒業したのです」みたいな
顔をして暮らしていましたが、邪魅の雫発売を機に
陰摩羅鬼の疵から続けて読み始めたという寸法。
おかえりなさい、オレ。
以下、ネタバレ含む。
以下、邪魅について。
旧軍の秘匿物を巡る話、という構図が今回の大きな胆になってたけど、
今後、そういう要素が大きくなってくのかしらとか。「あの人」こと
藤堂さんがモリアーティ教授みたいなポジションでどしどし活躍しつつ、
「ドキッ!おっさんだらけの二十面相の娘」みたいな事になっていく
ことを期待。
青木と公安の人のやりとり萌え。
木場と京極の教えを最大限使用して公安の人にただのお巡りじゃねぇな!
って言わせる文さん。もうね、邪魅はそこだけ読んでればいいよ。うん。
あと、大鷹さんが酷いこと言われすぎな点がテラワロス。
三人称の地の文で馬鹿とか愚鈍とか言われる登場人物・・・すげぇなぁオイ。
とか思いながら読んでたら、中盤から後半「オイオイ。言われすぎだよ、
救いがネェよ」とちょっと泣きそうになった。そしたら死んじゃうし。あちゃー。
関口が薔薇十字探偵に「それは僕にも言えないことなのか?」とか
強気攻めで出てたのを見て、ああBLの受け攻めってそうだよ、意外性が
大事なんだよね。ってまた一つ、乙女のホモ理解のレベルが上がった気がした。
どんどん、BLに詳しくなっていきたい。


